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知識蓄積備忘録/State-of-the-Ars

【Survey】Body Integrated Programmable Joints Interface

はじめに

本エントリは,ヒューマンコンピュータインタラクション論文紹介 Advent Calendar 2016 - Qiitaの21日目です.

本日紹介する論文は,CHI2016で発表された『Body Integrated Programmable Joints Interface(Best Paper Honorable Mention)』です.

紹介動画は以下になります.

ショート(30s)

www.youtube.com

ロング(2m12s)

vimeo.com

どんなものか?

人間が本来持つ5つの指で行うことができるスキルを超えて,ウェアラブルロボットインターフェースと人間の手指が相乗作用的に人間の身体能力を拡張するプログラマブルジョイントインターフェースを開発・研究を行った.

先行研究と比べてどこがすごい?

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アーティストStelarcがThird handという作品を制作しており,腹筋と足の筋肉を使用することで,『第3の手』を制御していた.本研究では,インターフェースの独立した制御を達成するために,腕撓骨筋(上の図でいうbrachioradialis)からのEMG信号を使用している.EMG信号は,MYO Armbandで取得している.

腕撓骨筋からのEMG信号を使用した理由としては,7人の試験参加者(男性6名,女性1名,23歳~36歳)の一般的に実際の手で行うことができるジェスチャ(拳,親指,腕振り,手のひら伸ばし)でのEMG信号を収集したところ,腕撓骨筋からのEMG信号は上記のジェスチャ全てと低い相関を示したため.

Third handと比較した時,人間本来の行動の邪魔にならないようになっている点がメリットであると考える.

論文のキモはどこ?

手法のキモとしては,先行研究との比較で述べたように,日常のジェスチャではあまり使われない腕撓骨筋からのEMG信号によってインターフェースを制御するため,実際の手とインターフェースの制御を切り離して使用できることであると思う.

また,論文のキモとしては,"Human-Machines Symbiosis"=『人間と機械との共生』という考え方において,以下のガイドラインに則った相乗作用的なヒューマンオーグメンテーションを考えているようです.

  1. the device should not hinder or replace a user’s innate capability (デバイスはユーザの本来の能力を妨げたり置き換えたりしてはならない)
  2. the device should be able to disengage from the user’s context without enforcing continuous use of it (デバイスは継続的に使用する必要はなくユーザから着脱可能である必要がある)
  3. the device should remain an “interface”–that is, perceived as a tool/object rather than being a fully implanted body organ (デバイスは身体に埋め込まれるのではなく,ツールもしくはオブジェクトとして認識される「インターフェース」でなければいけない)
  4. it should serve multiple purposes – as having multiple wearable devices designed for different purposes is not desirable (異なる目的のために設計された複数のウェラブル装置を所持するのではなく多目的に使用できるデバイスが望ましい)

議論はあるか?

日常のジェスチャではあまり使用されない腕撓骨筋からのEMG信号を用いて制御するため,操作に慣れが必要そうだ.

本論文では,このデバイスを継続的に使用した時,人間の体と機械(インターフェース)間の認識が曖昧になる可能性があり,ユーザがそれがユーザ本来の能力なのか機械によって獲得された能力なのかを意識的に区別できなくなり,人間の本質を損なうと提唱している. しかしながら,インターフェースはリアルとディジタルの境界を曖昧にする,もしくは失くそうとする方に進むべきだと個人的に思っているので,それも悪くないのではと思う.

次に読むべき論文は?

  • PossessedHand: techniques for controlling human hands using electrical muscles stimuli.

  • An Actuated Wearable for Mediating Affect.

  • Daily Support Robots that Move on Me.

参考文献

【論文】Body Integrated Programmable Joints Interface

論文中の画像をスクリーンショットして載せているものもあります.

Body Integrated Programmable Joints Interface ~ Sang-won Leigh

上記サイトから画像を取得しているものもあります.

おわりに

初めてのAdvent Calendar参加です.知識,英語ともに疎いので,変な解釈をしてるかもしれません.

A4スライドは後日アップロード予定です.